「震災だから仕方がない」と、あきらめないで・・・

 震災 雇用 についての Q&A
広域な震災が起きると、会社も労働者も大変な状況になります。でも、給料の減額や退職させられるのは「仕方ない」と、あきらめる必要はありません。雇用と労働のルールを定めた「労働法」を活用して、働く者の権利を守りましょう。 ※ 熊本震災による特例措置も紹介します。 
*作成:2016年4月23日  弁護士 大前治(大阪弁護士会)

【目次】    *リンク: 朝日新聞 2016年4月25日付 「被災 仕事は? 賃金は?」
雇用と労働条件・・・解雇、給料カット、給料の未払い、休業手当、異動、内定取消ほか
雇用保険、失業給付・・・被災地の特例、一時休業でも受給可、離職票がなくても可
労災保険 ・・・会社の証明書がなくてもOK、通勤・勤務中の負傷を幅広く補償
健康保険 ・・・健康保険証がなくてもOK、支払の猶予手続など
困ったときの相談は ・・・ここで相談や情報収集を


「退職しなさい」、「給料を減らします」と言われたらどうする・・・
雇用労働条件 Q&A
  ▼解雇  ▼休業  ▼内定取消  ▼給料の減額  ▼未払賃金の立替払
▼給料の早期支払い  ▼欠勤  
残業  ▼異動


Q : 「震災で減収になったから」と解雇されました。納得できません。

A : 会社は、社員を自由に解雇できません。解雇は違法の可能性あり。

解雇は従業員の生活手段を奪う重大な処分です。したがって、経営者は解雇を自由にできません。解雇は法律により制限されています(労働契約法16条)。これは、震災の場合でも同じです。
震災による減収・経営難を理由とする解雇は、以下の条件を満たさないと違法・無効です。
【整理解雇の4要件】
@ 人員削減の必要性がある
A 解雇しないためのギリギリまでの経営努力がされた
B 解雇される者の人選が合理的
C 事前に従業員への説明や協議を尽くした
⇒これらの条件を満たさないと、解雇は無効であり違法です。職場復帰や給料支払を求めましょう。*関連リンク:朝日新聞 2016年4月25日付


Q:自宅が被災して通勤不可能。1週間休んだら解雇されました。
A:従業員の怠慢による欠勤ではないので、解雇は不当です。

就業規則(社内規定)で、「欠勤した者は解雇される」と定めている場合があります。
その場合でも、あらゆる欠勤が解雇の理由になるものではありません。
そもそも解雇は、法律によって厳しく制限されています(労働契約法16条)。
「解雇される」という社内規定も、この法律の範囲内でのみ適用されます。
ご質問のケースは、従業員の怠慢・過失による欠勤ではありません。したがって、解雇という重大な処分をすることは、社会的に相当ではく違法・無効と考えられます。
通勤不可能のときは、欠勤ではなく、「公休」か、せめて「有給休暇」にするよう求めましょう。


Q : 震災のため会社が休業。給料はどうなりますか?

A : 給料全額または休業手当を請求できる場合があります。

(1)不可抗力でまったく経営できない状態の場合
壊滅的被害により経営不可能となった場合、解雇はやむをえないと考えられます。
それでも、未払いの給料は請求できます。会社の財産が残っている場合は、「差し押さえ・強制執行」をできる可能性もあります。
会社が再起不能で廃業が確実な場合は、労働基準監督署で「未払い賃金の立替払い制度」を申し込むこともできます。⇒こちらへ
(2)天災をきっかけとした経営者の判断により休業になった場合
会社側に休業の原因(帰責事由)がある場合は、給料の全額を請求できます (民法536条2項)。
そうではない場合でも、休業が「まったくの不可抗力」とはいえず、震災に関連する流通機構の不円滑、原材料の欠乏、行政庁の勧告による操業停止の場合など、要するに「休業の理由が従業員側にない場合」は、休業手当として賃金の60%を請求できます (労働基準法26条)。事業継続が不可能ではないのに経営者が休業と判断した場合、それによる不利益を全面的に従業員に押し付けるべきではないからです。
なお、休業手当を支払う事業主への助成金制度があります。⇒こちらへ

派遣社員の方は、次のQ&Aをご覧ください。
【関係する法律】
民法536条2項(事業主に帰責事由がある場合、給料全額を支払う義務)
労働基準法26条(給料の60%の休業手当を支払う義務)


Q : 派遣社員です。「震災のため休業です」と言われました。
A : この場合でも、原則として派遣会社から給料100%を請求できます。

(1) 派遣先は、派遣労働者に「休業」を命じることはできません
派遣労働者は派遣会社との間で契約をしているので、派遣先が派遣労働者に休業を命じることはできません。したがって、派遣先が「休業」を命じた場合、とりあえず出勤する必要はありませんが、給料は派遣会社(派遣元)から100%支払を請求できます。
(2)派遣会社が「休業」を指示した場合でも、給料100%を請求できます
そもそも派遣会社は、派遣労働者が休業になることを回避できます。他の派遣先での就労を確保すればよいのです。にもかかわらず派遣労働者を休業させることは、派遣会社の責任で休業状態を作っているのと同様です。
したがって、派遣会社から給料の100%を請求することができます。
(※ これについての高等裁判所や最高裁判所の判例はありませんが、多くの労働法学者は上記の見解です。)
(3) 派遣先は、原則として派遣契約の中途解除をできません
派遣先は、派遣契約の中途解除をできません(労働者派遣法27条)。正当理由のない中途解除は違法・無効です。
したがって、派遣先が違法な契約解除をした場合でも、派遣会社は派遣労働者に対して給料100%を支払う必要があります。
(4) 派遣会社は、派遣先が休業になっても、安易に派遣社員を解雇できません
もし派遣先が閉店や操業停止になった場合でも、それだけを理由にして派遣会社が派遣労働者を解雇することはできません。 上記のとおり派遣先による中途解除は原則として認められていないのですから、それを容認して派遣社員を解雇することは労働契約法16条違反(合理的かつ相当とはいえない)になります。
【関係する法律】
 民法536条2項(会社の帰責事由による休業の場合、給料全額を請求できる)


Q : 休業手当を払ってほしいけど、会社も大変な状況です。
A : 「雇用調整助成金」の活用を提案してみましょう。

休業手当を受け取るのは労働者の権利です。しかし、休業手当を支払うのが苦しい会社もあると思います。そんなとき、経営者は「雇用調整助成金」を利用できます。これは、企業が従業員を解雇せずに、雇用を維持して「休業手当」を支払う場合に、その2分の1〜3分の2を助成する制度です。申請窓口は、ハローワークまたは労働局です。⇒雇用調整助成金の紹介ページ
2016年4月の熊本地震を受けて、雇用調整助成金を利用しやすくする特例が実施されています。⇒熊本地震による特例


Q:震災を理由に、「内定取消」と言われました。
A:内定取消は、よほどの理由がないと違法です。あきらめないで。

採用内定の時点で、雇用契約は正式に成立しています。
したがって、企業側が一方的に取り消すことは原則として不可能です。
そのことは、もし「内定を取り消すことがある」という条項があっても同じです。
裁判所の基準では、例外的に内定取消が認められるのは以下の場合だけです。
@ 内定当時に判明・予想できなかった事情が生じた。
A それにより内定取消をすることが社会的に是認できる。
B 内定取消をしないための努力を尽くした。
C 内定者に対して内定取消の事情を十分に説明した。
以上の条件を満たしているか、よく検討しましょう。
経営には多種多様のリスクが存在します。天災や経済情勢による減収だからといって、必ずしも「予想できなかった」とは限りません。「震災だから内定取消は仕方がない」とあきらめる必要はありません。


Q : 「非常時だから今月の給料は50%カット」と言われました。
A : 一方的な給料カットは法律違反です。

給料は、雇用契約が定める重要な労働条件です。従業員と企業が契約で決めた以上、合意のないまま企業側が一方的に変更することはできません(労働契約法8条)。これは震災により経営悪化の場合でも同じです。
給料を減額するには、@従業員一人ずつの同意、またはA労働契約法9条・10条による「就業規則の変更手続」(労働者過半数代表の意見聴取、労働者への周知、そして労基署への届出)が必要です。こうした手続をとらない一方的な給料カットは違法・無効であり、これまでどおり正規の給料額を請求できます。


Q : 会社が事業停止。未払いの給与だけでも受け取りたい。
A : 未払賃金の立替払制度を利用しましょう。特例措置もあります。

未払の給料は、交渉や裁判により支払ってもらいましょう。しかし、倒産や事業停止により支払ってもらえない場合、「未払い賃金の立替払制度」を利用できます。
これは、過去6ヵ月間の未払い給料のうち80%の支給を受けられるものです。
1年以上事業継続した企業に適用されます。労働者の勤続年数は関係ありません。
勤務先が会社法人でも、個人企業でも、利用できます。
会社が労災や雇用保険に加入していなくても、この制度を利用できます。
会社が正式に倒産(破産)した場合だけでなく、震災などにより事業再開の見込みがない場合にも、この制度を利用できます。
申込み先は、労働基準監督署です。労基署で、勤務先企業の「事業停止(事実上の倒産)」を認定してもらって、申請をします。

今回の熊本地震で被災された方は、必要書類が入手しにくいことを考慮して、手続が簡易・迅速にされるよう配慮されています(厚労省H28.4.22通達)。まずは、労基署で申請しましょう。(参考:厚労省H23.3.23通達)。

未払い賃金の立替払い制度 案内
・労働基準監督署の所在地 熊本県 鹿児島県
 


Q : 地震で被災しました。給料支給日を早めてほしい。
A : 天災による場合、給料日より早く支払うよう請求できます。

毎月の給料日を待っていられない場合もあります。
そこで法律は、災害、出産、病気など「非常の場合」には、給料日前でも、それまでの分の給料を請求できると定めています(労働基準法25条)。
災害で従業員自身が被災した場合だけでなく、家族が被災(負傷、死亡)した場合や、やむを得ず1週間以上帰郷する場合も、この制度を利用できます。
社内の見舞金規定・慶弔規定もよく調べて、申請できる制度は利用しましょう。

【関係する法律】
労働基準法25条 (天災など「非常時」の給料先払い)
労働基準法施行規則9条 (「非常時」の具体例)


Q : 被災して会社に連絡がとれないまま休んだら「欠勤」にされた。
A : 公休、または事後取得による有給休暇を求めましょう。

被災して職場に連絡を取れないまま休んでしまう場合があります。 しかし、これは従業員の過失や怠慢によるものではないのですから、懲戒処分や不利益評価の理由になる「欠勤」にすることは不当です。
社内制度として、「公休」の制度があるならば、公休を認めるよう強く要求しましょう。
「公休」が無理なら、せめて「有給休暇」にしてほしいと求めましょう。有給休暇は、法律上は「事前の許可」がなくても休める制度です。事前連絡がないと有給休暇をとれない訳ではありません。震災が理由の場合は、事前連絡できなかった従業員に「過失」や「職務違反」があったとはいえません。ですから、最低限でも欠勤ではなく有給休暇とされるべきです。
【関係する法律】
 労働基準法39条(有給休暇には、会社の「事前許可」は不要)


Q : 災害を理由に、残業や休日出勤を指示されます。限度はないの?
A : 非常時の残業命令は法律で認められています。しかし、限度があります。

(1)残業を認める「労使協定」がない場合でも、災害などによる「臨時の必要」がある場合は、残業や休日出勤を命じることができます(労働基準法33条)。ただし、労働基準監督署への届出が必要です。「労使協定」も「労基署への届出」もないのに、当然のように残業を命ずることはできません。
(2)上記の「労基署への届出」がある場合でも、単なる「業務の繁忙」など経営上の必要による残業や休日出勤の指示は認めない、というのが厚労省の運用基準となっています。
(3)残業を認める労使協定がある場合でも、以下の業務の場合は、残業は1日2時間以内とされています。
・放射線、粉じんにさらされる業務
・重量物の取扱いなど重い激務
・激しい騒音や振動を受ける業務
・著しく寒冷または暑熱な場所の業務
 ⇒これに違反して長時間の残業を強いる命令は違法です。
【関係する法律】
労働基準法33条(非常時の残業命令)
労働基準法施行規則18条 (激務の残業は、1日2時間以内に制限される)


Q : 地震で営業所が廃止され、遠方へ異動を命じられました。
A : 異動の命令は、違法・無効の場合があります。慎重に検討を。
遠隔地への異動(配置転換)命令は、経営者が自由にできる訳ではありません。
@異動をするべき「業務上の必要性」があり、A人選の合理性があり、B従業員が受ける不利益への配慮がされており、C異動についての説明や協議が十分された、という条件を満たす必要があります。また、D異動を命ずるときには育児や介護への配慮も必要とされています(育児・介護休業法26条)。
震災で営業所が廃止された場合でも、次のような場合は、上記の条件を満たさず、遠方への異動命令は無効となります。
【異動が違法・無効とされる例】
・近くに他の勤務可能地があるのに、不合理に遠方異動を命じた場合
・従業員が育児や介護のため移動できない事情がある場合
・異動に伴う不利益緩和措置(手当支給、準備期間、期間限定など)がない
・営業所廃止の必要性や、異動先での待遇などについて説明がない




仕事を失ったときは、ハローワークで失業給付を申し込もう!
雇用保険・失業給付 Q&A


Q : 地震による一時的な休業でも、失業給付を受けられますか?
A : はい。 被災地の特例措置により、受けられます。

本来は、失業給付は退職や解雇などにより「失業」した場合に受けられるものです。
しかし、震災による特例措置により、 事業所が災害を受けて休業している場合には、失業給付を受けられます。将来的に職場に戻る予定のある「一時的な離職」の場合にも、失業給付を受けられます。 ※厚労省による案内  ※ 広報リーフレット


Q : 失業給付は、どこで申し込めますか? 
A : ハローワークです。被災した方は、住所地以外で申請できます。

通常は、住所地を管轄するハローワークで失業給付を申し込みます。しかし、被災した人は、特例により住所地以外のハローワークでも申請できます。
厚労省の案内(住所地以外でも手続可能)
※ハローワークの所在地 熊本県 鹿児島県


Q : 「離職票」がなくても、失業給付の申請はできますか?
A : できます。 あきらめる必要はありません。

事業主が離職票を発行できない場合でも、ハローワークで「雇用保険の被保険者であったことの確認」を請求することができます。この制度を利用すれば、離職票がなくても失業給付を申請できます。(雇用保険法8条・9条)
厚労省は、熊本地震の後、「受給手続きに必要な確認書類がない場合でも手続きを行うことができますので、お近くのハローワークにご相談ください」と広報しています(厚労省の案内)。
※参考資料:東日本震災当時の取扱い


Q : パート、アルバイトでも失業給付を受けられますか?
A : 受けられます。ただし、勤務期間・勤務時間の条件があります。

パート・アルバイト・契約社員・派遣労働者でも、雇用保険は適用されます。
ただし、週20時間以上の勤務で、2年以内に通算12か月以上(各月ごとに11日以上)勤務していたことが必要です。 この条件を満たせば、失業給付を受けることができます。
失業給付の制度について、詳しくは⇒雇用保険・失業給付の解説(厚生労働省)

    ※ 参考資料:東日本大震災時の 厚労省「雇用保険Q&A」
    ※ そもそも解雇(退職)に納得できない場合は ⇒ こちらのQ&Aへ
    ※ 退職までの給料を払ってもらいたい場合は ⇒ こちらのQ&Aへ



勤務中や通勤途中に地震で負傷したときは、労災を活用しよう
労災保険 Q&A


Q : 労災保険とは、どのようなものですか?
A : 自己負担なしの治療や、休業補償を受けられる制度です。

労働者(従業員)の方が、仕事中や通勤・帰宅中に震災でケガをした場合、「労災保険」を活用できます。 次のような補償があります。
*無料で受診・・・自己負担なしで病院に通院・入院できます。
*休業補償・・・休業による減収の補償を受けられます。
*遺族への補償・・・仕事中に被災して死亡した方のご遺族は、遺族給付金(遺族年金、遺族一時金)を受け取ることができます。

従業員1名だけの事業所でも強制加入になるのが労災保険です。幅広く活用しましょう。


Q : 労災で治療を受けたい。 どこで申し込めばよいですか?
A : 直接病院へ。被災地の特例で、手続が軽減されています。

被災した方は、労災指定病院で、労災による無料の治療を申し込むことができます。
労災指定病院は、熊本県内に約800件あります。
「○○労災病院」という名称の病院でないと労災診療を受けられない訳ではありません。
※労災指定病院は、こちらで調べられます⇒ 労災指定病院の検索


Q : 労災申請をしたいけど、会社や病院の書類を用意できません。
A : 被災地の特例で、会社の証明印なしで労災申請をできます。

労災による治療は、病院で直接申し込めます。
また、傷病による休業の補償は、事業主や病院の 証明印をもらって労働基準監督署に申し込みます。
しかし、熊本地震で被災したために、事業主や病院の証明書を入手しにくい場合は、証明がなくても請求を受け付けます。⇒ 厚労省の発表 朝日新聞 2016.4.25.


Q : 通勤途中に被災してケガをした場合、労災保険を受けられますか
A : 受けられます。 帰宅途中のケガも、同様です。

通勤・帰宅途中に被災してケガをしたばあいは、「通勤災害」として、労災による補償を受けられます。
たとえば、「地震だから今すぐ帰宅しなさい」 と指示されて帰り始めた直後の負傷も、労災による補償の対象になります。

※参考資料:東日本震災時の厚労省「震災と労災保険Q&A」


Q : 勤務時間中に、震災で負傷した。労災保険を受けられますか。
A : はい。 幅広く、労災の補償を受けられます。

仕事中に地震や津波により負傷した場合、労災保険を受けられます。
自己負担なしの治療(通院・入院・投薬)や、休業補償を受けられる制度ですから、幅広く活用しましょう。
厚労省も、「仕事中に地震や津波に遭い、ケガをされた(死亡された)場合には、通常、業務災害として労災保険給付を受けることができます。」と明言しています。( 厚労省 「震災と労災保険Q&A」 )

たとえば、以下のような場合に、労災が適用されます。
 *仕事中に地震や津波にあい、負傷・死亡した場合
 *船員が船上で津波にあい、船が転覆して負傷・死亡した場合
 *仕事中に地震による避難指示を受けて避難中に、津波により負傷・死亡した場合
 *出張先で仕事中に地震や津波で負傷・死亡した場合
 *休憩時間中に地震や津波で負傷・死亡した場合
 *外回りの営業に出ていた従業員が地震や津波で死亡した場合

※幅広く労災が認められることについては・・・
   厚労省 「震災と労災保険Q&A」   福島県労働局 H23.3.28発表
   岩手県労働局 H23.3.25発表

※本来は、労災保険は 「業務による傷病」を補償する制度です。 しかし、「震災による傷病は補償されない」 というのは誤解です。
たとえば、地震や津波により勤務中に会社や事務所が倒壊して被災した場合は、その職場自体がもともと危険だったために被災したと考えられます。 このような理由での負傷は、労災の補償を受けられます。

※ 平成7年の阪神大震災のときにも、もともと危険な業務に従事していたために被災した場合には、労災により補償されるという通達が出されていました。 厚労省が示す例として、次のような負傷は労災の補償を受けられるとしていました。
   ・作業現場でブロック塀が倒れた
   ・作業場が倒壊した
   ・事務所が土砂崩壊により埋没した
   ・バス運転手が落石に見舞われた
   ・工場・倉庫から屋外に避難する際の負傷
   ・避難の途中、車庫内のバイクに衝突した   (厚労省H23.3.11通達


厚労省H23.3.11通達は、業務の危険性が震災により現実化した場合は「業務起因性」を認めるとしたうえで、天災による傷病だからといって労災を認めないという予断をもたないよう通知していました。さらに平成23年3月24日に、厚労省は 「震災と労災保険Q&A」を発表して、幅広く労災の適用を認めることを明らかにしました。)



震災で健康保険証を紛失した、治療費を払うのが苦しい・・・
健康保険 Q&A


Q : 自宅が被災して、健康保険証がなくなりました。
A : 被災した方は、保険証がなくても医療機関で治療を受けられます。
今回の震災では、被災者が保険証を紛失した場合は、氏名・生年月日・勤務先・住所などを言えば治療を受けられます。 保険証がなくても治療を受けられます。
なお、各種福祉制度による医療券・療育券などを紛失した場合も、治療を受けられます。
※熊本地震後の取扱い:厚労省の発表 朝日新聞 2016年4月25日付
※参考資料:東日本震災時の取扱い 厚労省H23.3.11通知A 厚労省H23.3.11通知B

Q : お金がなくて、治療費や健康保険料を支払えません。
A : 被災者は、診療費の猶予や、保険料の減免を受けましょう。
今回の震災では、下記の方は2016年7月末まで治療費の窓口負担の支払い猶予を受けられます。つまり、窓口での支払いなしで治療を受けられます。⇒厚労省の発表
病院窓口での費用負担なしで治療を受けられるのは、次の場合です。
   @ 自宅が全半壊、全半焼、これに準ずる被災をした場合
   A 主たる生計維持者が死亡、重傷、行方不明となった場合
   B 主たる生計維持者が業務廃止・休止した方
   D 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない方
※参考資料 厚労省通達H28.4.22
その他の減免措置(年金、医療、税など) 



雇用と労働のことで困ったら、ここで相談や情報収集を。
困ったときの相談は・・・

日本労働弁護団 各地のホットライン
 曜日・時刻は各地ごとに異なります

民主法律協会 労働相談ホットライン 毎週金曜18:00〜 電話相談
日本司法支援センター 広報Twitter 無料法律相談、役立つ法律情報など
熊本弁護士会 Twitter 電話による相談・情報提供をしています



熊本地震で被災された皆さんへ、お見舞い申し上げます。
震災被害の推移をみながら、必要な情報を発信していきます。


大阪京橋法律事務所  弁護士 大前 治
〒534-0024 大阪市都島区東野田町1-6-16 ワタヤ・コスモスビル 6階
TEL 06-6167-5270   FAX 06-6351-3603
大前治 FaceBook 大阪京橋法律事務所